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「文豪の怪談ジュニアセレクション『死』」(汐文社)より朗読させていただきました。
生前未発表・1923年頃執筆
★作品中、何度か繰り返される経文を以下に載せておきます。
「爾(その)時に疾翔大力(しっしょうたいりき)、爾迦夷(るかい)に告げて曰(いわく)、諦(あきらか)に聴きけ、諦に聴け、善(よく)これを思念せよ、我今汝(なんじ)に、梟鵄(きょうし)諸(もろもろ)の悪禽あくきん、離苦(りく)解脱の道を述べん、と。
爾迦夷(るかい)、則(すなわち)、両翼(りょうよく)を開張し、虔(うやうや)しく頸(くび)を垂れて、座を離れ、低く飛揚して、疾翔大力を讃嘆すること三匝(さんそう)にして、徐(おもむ)ろに座に復し、拝跪はいきして唯ただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力、ただ我等らが為ために、これを説きたまえ。ただ我等が為に、これを説き給えと。
疾翔大力、微笑(みしょう)して、金色の円光を以て頭(こうべ)に被れるに、その光、遍(あまね)く一座を照し、諸鳥歓喜(かんぎ)充満(じゅうまん)せり。則ち説いて曰く、
汝等(なんじら)審(つまびらか)に諸の悪業(あくごう)を作る。或いは夜陰(やいん)を以て、小禽(しょうきん)の家に至る。時に小禽、既すでに終日日光に浴し、歌唄(かばい)跳躍(ちょうやく)して疲労をなし、唯唯甘美の睡眠中にあり。汝等飛躍してこれを握む。利爪(りそう)深くその身に入り、諸(もろもろ)の小禽、痛苦又声を発するなし。則ちこれを裂きて擅ほしいままにたんじきす。或は沼田(しょうでん)に至り、螺蛤(らこう)を啄ばむ。螺蛤軟泥(なんでい)中にあり、心柔なんにして、唯温水を憶う。時に俄に身、空中にあり、或は直ちに身を破る、悶乱(もんらん)声を絶す。汝等これを食するに、又懺悔の念あることなし。
斯の如きの諸(もろもろの)悪業、挙げて数うるなし。悪業を以ての故に、更に又諸の悪業を作る。継起(けいき)して遂に竟(おわ)ることなし。昼は則ち日光を懼(おそ)れ又人及び諸の強鳥を恐る。心暫くも安らかなるなし、一度(ひとたび)梟身(きょうしん)を尽して、又新たに梟身を得う、審(つまびら)かに諸の苦患(くげん)を被りて、又尽ることなし。」
宮沢 賢治
(みやざわ けんじ、正字: 宮澤 賢治、1896年(明治29年)8月27日 - 1933年(昭和8年)9月21日)は、日本の詩人、童話作家。
仏教(法華経)信仰と農民生活に根ざした創作を行った。
作品中に登場する架空の理想郷に、郷里の岩手県をモチーフとしてイーハトーヴ(Ihatov、イーハトヴやイーハトーヴォ (Ihatovo) 等とも)と名付けたことで知られる。
彼の作品は生前ほとんど一般には知られず無名に近く、没後、草野心平らの尽力により作品群が広く知られ、世評が急速に高まり国民的作家となっていき、今でも日本には広く愛好者が存在する。
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