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「償いは、夜明の前に」
■あらすじ
酒と遊びに溺れかけていた若侍・水野平三郎は、乱行の果てに岡崎藩へ預けられた元大名・本多政利の相伴役を自ら願い出る。
死を命じられかけた政利を救うため、平三郎は酒を断たせ、夜ごとの道掃除へ連れ出す。
身分も誇りも剥ぎ取られた寒夜の労働の中で、政利は初めて庶民の暮らしと苦しみに触れてゆく。
自らの弱さと罪に向き合う男たち、そして政利に仕える侍女・萩尾の秘められた想いを描く、
山本周五郎らしい厳しくも温かな人情武家物語。
■登場人物
📗水野平三郎
岡崎藩老職・水野五郎左衛門の嫡男。剣術に優れ、男ぶりもよく、友人や女たちに人気がある。酒や遊びに溺れてはいないと自負していたが、やめようとして初めて、自分が習慣に縛られていることに気づく。自ら本多政利の相伴役を願い出て、政利の更生に命を賭ける。
📗水野五郎左衛門
平三郎の父。九百七十石ほどの老職。寡黙で厳格だが、息子を深く見守っている。酒や遊びそのものではなく、それが習慣となり、人を支配することを恐れている。
📗本多出雲守政利
もと明石六万石の大名。家政紊乱と不行跡により領地を失い、各家に預けられた末、岡崎藩に預けられる。酒乱と乱暴のため、相伴役や侍者を傷つけてきた人物。平三郎との出会い、道掃除、庶民の暮らしを通して、初めて自分の罪と向き合う。
📗萩尾/うた/こまち
政利に仕える若い侍女。二十一歳。母もかつて政利に仕えていた。実は政利の娘であることが物語の後半で示される。政利を憐れみ、支え続ける一方で、その情の深さが平三郎の更生の計画を揺るがす。
📗水野みや
平三郎の母。息子を心配しつつ、静かに見守る。手作りの無花果の菓子を平三郎に持たせる場面が、物語の人情味を深める。
📗鈴江主馬
矢矧川堤防工事の支配役。平三郎に「そう飲んでばかりいていいんですか」と声をかける。この一言が平三郎の内面に刺さり、彼の変化のきっかけとなる。
📗梶川伊八郎
平三郎の友人。浜屋のおこのの話を持ち出し、平三郎を酒と遊びへ誘う。
📗松尾忠之助
平三郎の仲間。伊八郎とともに平三郎に同行する。
📗おこの
浜屋にいる女。平三郎が通っていた相手の一人として名前が出る。
📗水野三郎右衛門
城代家老。水野家の本家筋。政利の処遇を協議する場に同席する。
📗拝郷内蔵助
江戸家老の分家で老職。政利への詰腹・毒害の相談に関わる。
📗村松義兵衛
本多政利の前任の相伴役。平三郎に役目の手順を伝える。
□用語集
📙八十八夜
立春から数えて八十八日目。茶摘みの時季として知られる言葉。ただし本作では題名が象徴的で、直接的な茶摘み場面よりも「人が変わり始める季節」「再生の始まり」を感じさせる響きがある。
📙相伴役(しょうばんやく)
身分の高い人のそばに付き添い、食事や日常の相手をする役。ここでは、預けられた本多政利の世話役・監督役に近い。
📙老職(ろうしょく)
藩政を担う重臣。家老に近い役職。
📙詰腹(つめばら)
責任を取らせるため、命じて切腹させること。
📙毒害(どくがい)
毒を用いて殺すこと。作中では、政利を表向きの切腹ではなく、本人に知らせず命を縮める案として語られる。
📙配所(はいしょ)
罪や処罰によって送られた場所。流罪・預け先のような意味。
📙改易(かいえき)
武士や大名の身分・領地を取り上げる処分。
📙家政紊乱(かせいびんらん)
家中・藩内の政治や統治が乱れていること。
📙不行跡(ふぎょうせき)
素行が悪いこと。身持ちが悪いこと。
📙乱行(らんぎょう)
常軌を逸した乱れた行い。酒乱や暴力、放縦な振る舞いを指す。
📙直諫(ちょっかん)
目上の人に対して、遠慮せず正面から諫めること。
📙世子(せいし)
跡継ぎ。大名家などの嫡男。
📙公儀(こうぎ)
江戸幕府のこと。
📙内達(ないたつ)
内々に伝えられる命令・通達。
📙答申書(とうしんしょ)
上位機関からの問い合わせに対して、意見や報告をまとめて提出する文書。
📙介錯人(かいしゃくにん)
切腹の際、苦痛を長引かせないため首を落とす役。
📙検視(けんし)
死の状況を確認する役目。ここでは切腹の場に立ち会う役人。
📙食売女(めしうりおんな)
旅籠などで客の相手をした女性。俗に「めしもり」ともいう。
📙めしもり
旅籠屋で給仕や接客をした女性。実際には遊女に近い役割を担うこともあった。
📙本陣(ほんじん)
大名や公家など身分の高い人が宿泊した公認の宿。
📙旅籠屋(はたごや)
旅人が泊まる宿屋。
📙浜屋(はまや)
作中で平三郎が通う遊興先の一つ。
📙大林寺(だいりんじ)
政利が城外へ移された寺。平三郎による更生の実践の場となる。
📙北ノ丸(きたのまる)
城内の一角。政利が最初に預けられていた場所。
📙矢矧川(やはぎがわ)
三河を流れる川。作中では堤防工事の対象となる。
📙堤防工事/普請(ふしん)
川の堤を修復・築造する工事。武家社会では藩の重要な行政事業。
📙触書(ふれがき)
役所から出される命令・告知。
📙馳走触(ちそうぶれ)
大名などの通行や宿泊に備え、町に準備を命じる触れ。
📙作法触(さほうぶれ)
大名通行などに際して、町筋の掃除、飾り、礼法などを細かく命じる通達。
📙助郷(すけごう)
宿場の人馬不足を補うため、周辺の村々に課された労役。
📙人足問屋(にんそくどいや)
労働者・人足の手配を行うところ。
📙箱車(はこぐるま)
箱のついた荷車。作中では道掃除の汚物やごみを運ぶために使われる。
📙塵取(ちりとり)
ごみを集める道具。
📙箒(ほうき)
掃除用具。政利が初めて庶民の労働に触れる象徴的な道具。
📙蓑笠(みのかさ)
雨具。藁などで作った蓑と笠。
📙網代笠(あじろがさ)
竹や木を編んで作った笠。
📙布子半纏(ぬのこばんてん)
綿入れの半纏。庶民・労働者の防寒着。
📙股引(ももひき)
脚にぴったりした作業着。江戸時代の労働者の服装。
📙素草鞋(すわらじ)
足袋を履かず、素足で草鞋を履くこと。
📙泡雪豆腐(あわゆきどうふ)
岡崎名物として語られる料理。ふわりとした豆腐料理。
📙饂飩(うどん)
うどん。作中では政利が庶民の食べ物を受け入れていく象徴。
📙つけ揚げ
魚や海老を油で揚げたもの。作中では饂飩に入れる具として登場。
📙蔀(しとみ)
格子状の戸。旅籠などの店先にある建具。
📙竹縁(たけえん)
竹で作った縁。作中では宿の格を示すものとして語られる。
📙台提燈(だいぢょうちん)
台に取り付けた大きな提灯。行列や夜間作業などで使われる。
📙継ぎ裃(つぎがみしも)
つぎの当たった裃。政利が最後に身を正す場面で着る。
📙銚子(ちょうし)
酒を注ぐ器。
📙盃(さかずき)
酒を飲む杯。終盤では政利と萩尾の静かな覚悟を象徴する。
📙無花果(いちじく)
いちじく。平三郎の母が砂糖煮にした菓子として登場し、萩尾へ渡される。
📙樒(しきみ)
墓地などに植えられる常緑樹。寺や死の気配を感じさせる植物。
📙返らぬ愚痴(かえらぬぐち)
取り返しのつかないことを嘆く愚痴。平三郎が萩尾の境遇を思う場面で響く。
■この動画の目次
0:00 第一章
8:53 第二章
18:09 第三章
27:25 第四章
36:23 第五章
46:10 第六章
55:21 第七章
1:04:25 第八章
1:14:21 第九章
1:23:44 第十章