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📘 あらすじ(第三十四回「富士を見つ」「東海風流陣」)
甲州征伐を終え、信長は東海道を凱旋する道すがら、かねてより憧れ続けていた「富士見物」を果たす。望み叶った彼は、裾野を馬で駆け、子どものような歓喜をあらわにするが、一方で随行する明智光秀の沈鬱な顔色に、またもや苛立ちを覚える。
旅の道中では、徳川家康が献身的な接待を尽くし、宿営から警固、風流な催しに至るまで、信長の心を見事に掴む。家康の誠意に感動した信長は、愛馬「黒ぶち」すら贈るという破格の礼をもって応える。
一方、同じく参陣していた北条氏政の無為と打算に対しては、冷たく拒絶の態度を取り、信長の人物観の明暗がはっきりと描かれる。
そして、帰路の終着、清洲へ戻った信長は、父・信秀の墓に詣で、少年時代に自らを諫めて死んだ老臣・平手政秀の姿を思い浮かべながら、これまでの歩みを静かに振り返る。
その胸に、ある予感がなかったとは、誰も言い切れない。――この凱旋から、わずか四十余日後、彼は本能寺の変にて炎の中にその生涯を閉じることとなる。
🧐 解説
この回は、信長という稀代の英雄の「人間らしさ」と「孤独」、そして時代の転機における心理の襞が緻密に描かれた珠玉の章です。
天下布武を実現しつつある信長は、これまでの生涯で果たせなかった“富士を見る”という素朴な望みをようやく叶えます。その姿は、権力者としての威容ではなく、ひとりの少年の夢に心を躍らせる旅人のよう。
対照的に、明智光秀は終始暗く、信長との感情の乖離が顕在化し始めており、その心理的断絶はやがて歴史的悲劇へとつながってゆきます。
また、この章では徳川家康と北条氏政の「誠意」と「虚飾」の違いが明瞭に対比され、信長の洞察力と好悪の激しさが表現されています。
“風流陣”と称される東海道の凱旋は、単なる戦勝の帰路ではなく、武将として、そして人間としての信長の最期の精神風景を描く、叙情的で美しい場面となっています。
👥 登場人物一覧
名前 説明
織田信長 戦国の覇者。念願の富士を仰ぎ、凱旋中に深い情動と内省を見せる。
明智光秀 信長の重臣。凱旋中も浮かない表情で、内に屈辱と葛藤を抱える。
徳川家康 信長を歓待する同盟者。道中のすべてに心を配り、その誠意が信長を感動させる。
北条氏政 相模の大名。表面だけの献上と働きの無さにより、信長に見限られる。
近衛前久 太政大臣。軽んじられ、信長の行軍から退かされる。
森蘭丸 信長の側近。信長の行動を間近に支える忠臣。
湯浅甚介 小姓のひとり。信長から愛馬を賜る。
家康の家臣団 道中を整備し、信長の滞陣を手厚く支える。
信長の旧臣たち(政秀、信秀) 信長の回想の中に登場。信長の内面と生い立ちに深く結びつく。
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■この作品は、当初読売新聞に1939年1月1日から1945年8月23日まで、掲載されました。
以降の原稿は、「続太閤記」としていくつかの地方紙に掲載されました。前半の中断は、終戦が原因となったそうです。
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