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言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁もまた涙を泛かべ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。
本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己れの乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。そうして、附加えて言うことに、袁参が嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人を認めずに襲いかかるかも知れないから。
中島敦『山月記』 朗読:日髙徹郎”Ted Hidaka” #shorts
【フルバージョン】
2010/9収録2013/9公開
https://www.youtube.com/watch?v=EiBKIr0uzts&t=446s