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📚復刻版あらすじ
茂庭家の師範代・宗城孝也は、医師から余命わずかであることを告げられる。
彼には、病床の師・茂庭信高の娘、桂との婚約があった。
だが、死を前にした孝也は、桂と茂庭家の未来を守るため、あえて冷淡に振る舞い、弟弟子の西秋泰二郎を鍛え上げていく。
誤解、嫉妬、沈黙、そして月明かりの松山での果し合い――。
愛する者のために、自らの名誉さえ捨てようとした男の、静かで烈しい覚悟を描く、山本周五郎の人間悲劇です。
📚目次
0:00 月の松山 1
9:49 月の松山 2
19:13 月の松山 3
29:21 月の松山 4
38:18 月の松山 5
47:22 月の松山 6
56:20 月の松山 7
1:05:35 月の松山 8
1:16:54 アフタートーク
📚登場人物一覧
宗城孝也
茂庭家の師範代。浪人の子として育ち、茂庭信高に預けられた剣士。桂との婚約を控えていたが、脱疽による余命宣告を受け、自分の死後を見据えて行動する。
桂
茂庭掃部介信高の一人娘。十八歳。孝也の婚約者。父の看病をしながら、茂庭家の将来と孝也の変化に苦しむ。
茂庭掃部介信高
茂庭家の当主。鞍馬古流小太刀の師。卒中により全身不随となり、口もきけなくなっている。孝也と桂の婚約を気にかけている。
西秋泰二郎
茂庭道場の古参門人。浅野家から来ている剣士。才能があり、孝也から厳しく鍛えられる。桂の相談相手となり、やがて孝也の真意を知る。
花崗道円
医師。孝也に脱疽と余命を告げる。孝也の運命を決定づける人物。
無元和尚
広雲寺の老僧。禅僧。孝也は救いを求めて訪ねるが、死の恐怖そのものを癒すことはできない。
坪田与兵衛
小泉村の大地主。松平家の威光を笠に着て、茂庭家の土地に関わる地境争いを起こす。
日野数右衛門
松平家の家来。かつて茂庭道場で学んだが、素行不良により破門同然となった男。茂庭家に恨みを持つ。
大道寺九十郎
日野と行動を共にする松平家の侍。松山での果し合いに加わる。
庄司勇之助
茂庭道場の門人。酒井家から来ている。
益島弁三郎
茂庭道場の門人。戸田家から来ている。
宮原忠兵衛
茂庭道場の門人。常陸の郷士。
弥六
茂庭家の下僕。仔熊を捕まえる。終盤、孝也から泰二郎宛ての手紙を託される。
お品
茂庭家の小間使い。孝也へ食事を知らせに来る。
📚用語集
脱疽
血行障害などによって手足の組織が壊死していく重い病。作中では孝也の右足を蝕み、彼に余命を悟らせる重大な病として描かれる。
鞍馬古流
茂庭家に伝わる古い小太刀の流派。作中では、時代遅れになりつつも、正統を守るべき武芸として扱われる。
小太刀
通常の刀より短い刀を用いる武術。間合い、踏み込み、体捌きが重要となる。
師範代
道場で師範に代わって門人を指導する立場。宗城孝也がこの役割を担っている。
奉納試合
神仏に武芸を奉納する意味を持つ試合。茂庭家にとっては、鞍馬古流の正統を世に示す重要な行事。
地境
田畑や山林などの土地の境界。坪田与兵衛との争いは、この地境をめぐって起こる。
郡代役所
地方行政を扱う役所。土地争いや年貢関係の問題にも関わる。
果し合い
武士同士が約束して行う決闘。作中では松山の砦跡が決戦の場となる。
伏勢
あらかじめ隠しておいた助勢の者。終盤、孝也は相手方が伏勢を用意していることに気づく。
生死関頭
禅語的な表現で、生と死の境目、または死生観の核心を指す。孝也は禅の教えを知りながらも、現実の死の恐怖に苦しむ。
飛花落葉
花が散り、葉が落ちるように、生死も自然の理であるという感覚を示す言葉。無元和尚の境地を象徴する。