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新書太閤記 第四十六回
◆燈情風心
・あらすじ
本能寺の深夜、織田信長は異国の文物をどう取り込むか、直感と遊び心を重んじる独自の美学を語り合う。若き茶人・島井宗湛を相手に、西洋や唐風を「噛んで吐き出す」べしと示唆し、自身の秘蔵〈牧谿〉の名画「遠浦帰帆之図」や島井家の茶入れをめぐる駆け引きを楽しむ。夜の伽藍に揺れる灯火と霧が、信長の狡猾さと遊才を際立たせる。
解説
歴史的背景:天正年間、本能寺に宿泊中の信長は、大名間の外交儀礼を超え、芸術や茶道具を“戦略物資”とみなしている。
テーマ:説明を忌む信長の「直感重視」と、新旧文化の摂取・再構築(和魂漢才)の思想。芸術品の所有権をめぐる駆け引きが、戦国大名の権力闘争と重なる。
文学的特色:夜の寺院という幽玄な舞台設定、信長の遊戯的な語り口、細部にちらつく冷徹さが対比的に描かれる。
◆登場人物一覧
織田信長:天下統一を目前にした戦国大名。理知的かつ遊び心に富み、物事を“説明”より直感で掴むことを好む。
島井宗湛(宗室):若手茶人。信長の価値観に真摯に応えつつ、自らの道具を大事に守る誠実さを持つ。
織田信忠:信長の嫡男。父の振る舞いを気にしつつ、夜更けに退出を願い出る礼節の人。
村井春長軒父子:信忠の護衛を兼ねる側近。夜の寺門まで見送り、信長父子の一瞬の緊張感を和らげる。
◆九本旗
あらすじ
軍勢を率いて老坂を越えた明智光秀は、京都への二手に分かれる分岐点に立つ。中軍の大部隊は桂川へと進軍を続け、一部の先遣隊は夜明け前の霧の中で清水を汲み、厳戒の中にも不安を抱えつつ行軍を進める。旗印「九本旗」が水色に揺れ、運命の分かれ道を象徴する。
■解説
歴史的背景:本能寺の変直前、明智光秀率いる約一万三千の軍勢が山崎(山城国)を越え、京都洛中へ侵入する様子を克明に描写。
テーマ:兵士たちの無知と忠誠、統率者の冷徹な采配。軍令の迅速さと、夜行軍の不安—「進むしかない」覚悟が漂う。
文学的特色:夜闇、霧、旗のはためき、水音など五感に訴える描写。静と動、個人の躊躇と集団の一体感が対比される。
登場人物一覧
明智光秀:本編の中心人物。緻密な軍令と鋭い判断力で大軍を統率する。
斎藤内蔵助利三:百戦錬磨の老臣。物頭として号令を読み上げ、士卒に士気を鼓舞する。
天野源右衛門:先遣隊の部将。桂川渡河を命じられ、夜明け前に先頭を切る。
足軽・草履取たち:末端の兵士。軍令を忠実に実行しつつ、まだ何が起きるか知らずに進軍する。
◆鼓譟
◆あらすじ
夜明けの霧が払われるころ、明智軍は七条・四条・三条の各木戸を突破し、洛中へなだれ込む。半ば興奮した兵たちの声が町を揺るがし、本能寺へ向かう突入部隊は“さいかちの木”を目印に突進。市民が寝耳に水の騒ぎに驚く中、鼓や陣貝の轟きが都を震わせる。
◆解説
歴史的背景:本能寺の変当日の未明、複数方面から同時侵攻し信長を討つ作戦の緊迫感を描く。
テーマ:使命感と狂乱の狭間、武士の忠義と戦闘の凄惨さ。静寂を切り裂く軍馬と檄声が、「変」の衝撃を際立たせる。
文学的特色:爆発的な〈鼓譟〉の描写—擬音を多用し、現場にいるかのような臨場感を生む。
登場人物一覧
明智左馬介光春・斎藤内蔵助利三:本能寺方面への先鋒部隊の指揮官。霧深い路地でも冷静に合図を送る。
明智光忠:第二軍を率い、二条妙覚寺に布陣し信忠討捕を狙う。
洛中の市民:大勢の武者馬が都を蹂躙する中、かろうじて「聖域」としての都への尊厳を思わせる存在。
✿作者と作品について
◆作者:吉川 英治(よしかわ えいじ)
1892年(明治25年)- 1962年(昭和37年)。日本の大衆文学を代表する小説家。神奈川県出身。本名は英次(ひでつぐ)。『宮本武蔵』『三国志』『私本太平記』など、歴史を題材にした数多くの国民的ベストセラーを執筆し、「国民文学作家」と称された。その作品は、平易でありながら格調高い文章で、幅広い読者層から支持を得ている。1960年、文化勲章受章。
◆作品:『新書太閤記』(しんしょたいこうき)
吉川英治が1938年(昭和13年)から新聞連載を開始した歴史小説。豊臣秀吉の生涯を、織田信長に仕える以前の若き日から天下統一を成し遂げるまで、生き生きと描いている。本作は、従来の講談や立身出世物語としての秀吉像に、人間的な深みと魅力を与え、新たな「太閤記」として絶大な人気を博した。戦国時代の動乱を背景に、秀吉をはじめとする武将たちの葛藤や野望、人間模様が巧みに描出されている。
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■主題歌つきライブまとめ
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■新書太閤記再生リスト
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■この作品は、当初読売新聞に1939年1月1日から1945年8月23日まで、掲載されました。
以降の原稿は、「続太閤記」としていくつかの地方紙に掲載されました。前半の中断は、終戦が原因となったそうです。
日本の天下を統一した豊臣秀吉の生涯を昭和の文豪が描く!
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