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#謡曲 #観世流 #朗読 #日髙徹郎 #読みがえり
謡曲「語りシリーズ」
其の三
観世流謡曲「頼政」
諸国一見の僧が宇治の里のあたりの景色を眺めていると、
そこに一人の老人が現れた。僧は老人にこの里の名所を尋ね、
老人は僧を案内する。やって来た平等院。見ると、芝が扇の形に
刈り残されていた。老人は、扇の芝の由来を語る。
「昔、平家追討の旗をあげた高倉宮がこの寺で平家軍と戦われた折、
宮方の武将・源頼政がこの地で扇を敷き、自害して果てた。
ここが、その古蹟なのです」
昔この所に宮軍(みやいくさ)のありしに。
源三位頼政合戦にうち負け給ひ。
この所に扇を敷き自害し果て給ひぬ。
されば名将の古跡なればとて。
扇の形に取り残して。
今に扇の芝と申し候。
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謡曲には節(ふし)の部分と詞(ことば)の部分があります。
詞は観衆に対するものと特定の相手に対するものと独りごとの3つに大別されます。
朗読者としての私は詞を大事にしているわけですが、
中でも相手に対して過去の出来事や由緒などを物語る「語(かたり)」というものに
ひときわ興味を持っています。
「語」は謡曲において重要な聞かせどころとなっていますが、
節という音階的なものを伴わないだけにやりがいがあります。
趣味として続けている謡曲の中より
いくつかの「語」を実際に声に出して、ここで取り上げてみようと思います。
朗読(語り):日髙徹郎
Ted Hidaka