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『琵琶行 幷序』
序(口語訳)
元和十年、私は九江の司馬に左遷された。翌年の秋、旅立つ人を湓江のほとりに見送った時、どこかの船から夜中に琵琶を弾く音が聞こえてきた。
その音は高く澄み、田舎に似合わぬ都風の調子である。琵琶の主にどなたかと問えば、もとは長安の歌妓で、穆と曹の二人の師匠に琵琶を学んだ。年を取り容色が衰え、今は商人の妻になっていると言う。
そこで酒を用意させてさっそく数曲を弾かせた。弾き終わると女は哀しげに俯き、若かりし頃の楽しかったことや、今は落ちぶれて江湖の間に転々とさすらっていることを話した。私は地方に出て二年、心を平静に保って暮らしてきたが、この人の話に心を打たれ、今夜はじめて流浪の身の寂しさが身に染みた。そこで詩をつくりこの人に贈る。全部で六百十二文字、名づけて琵琶行と言う。
白 居易
大暦7年1月20日(772年2月28日)
- 会昌6年8月14日(846年9月8日))
唐代中期の漢詩人。字は楽天。