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七味春五郎の音本 〜人情朗読〜

【湯治 アフタートーク】山本周五郎 おたふく三部作 第二話 朗読七味春五郎 発行元丸竹書房

Last updated 2026-05-05 07:00:57

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山本周五郎は晩年にこんなことをいったらしい、 自分が死んだら、そのあとでぼくの小説を読んでほしい。かあさんがたくさん出てくるから。  山本周五郎は晩年人間嫌いになったようだが、若い頃はそうでもなく、とくに人の観察をよくしていた。きんさん姉妹のやりとりもよく聞いていたようです。 「ぼくの小説の半分はかあさんのおかげで書けた」  文豪・山本周五郎の小説家人生に多大な影響を与えたのは、きん夫人でありました。  きんべえと呼んだおくさん  死の数日前に感謝の想いをつたえたおくさん  そんな吉村きん一家を題材にした、おたふく三部作。外伝として水たたきも収録する予定ですが、ぜひお聴きください。 単話で配信のあと、主題歌(できるかどうかはわかりませんが)を書き上げて、それと合作した総集編として仕上げる予定です。 『湯治』あらすじ  妹おたかの縁談がまとまり、結納を前に、おしず・おたか・絹女・おてつの四人で熱海へ湯治に出かける話が持ち上がる。  温泉も箱根山も苦手なおしずだったが、妹のため、家のため、旅に出る覚悟を決める。  ところがその裏では、長く家族を苦しめてきた兄・栄二から十両を求める手紙が届いていた。  笑いながら苦労を隠してきた姉妹に、ふたたび試練が迫る。  妹の幸せを守るため、おしずはついに兄と真正面から向き合う。 📚登場人物一覧 📗おしず 本作の中心人物。長唄の師匠で、勘志津という名を持つ。三十二歳。素直で明るく、頓狂な言い間違いや勘違いが多いが、家族思いで情が深い。妹おたかの幸福のため、自分の恋や生活を後回しにして奔走する。 📗おたか おしずの妹。二十六歳。神田今川橋の大きな仕立屋に勤めている。姉よりしっかり者で、遠慮なくおしずをからかうが、姉を深く愛している。信濃屋の友吉を慕っているが、姉を一人残して嫁ぐことに強い負い目を感じている。 📗絹女 日本橋薬研堀の生花の師匠。利休古流を教える女師匠。陽気で話好き。おしずとは師弟というより友人のような関係。おたかの縁談をおしずに知らせる仲介役。 📗神谷市兵衛 絹女の夫。表で花屋を営む。本文では大きくは動かないが、絹女の背景を支える人物。 📗杵屋勘斎 おしずの長唄の師匠。七十一歳。すでに隠居しているが、おしずだけは自分で手なおしをしている。おしずの奇妙な癖や言い間違いに振り回されつつ、どこか楽しんでいる。 📗勘右衛門 杵屋勘斎の息子。師匠の跡を任されている人物。本文では背景的存在。 📗新七 おしず・おたかの父。小柄で上品な風貌の老人。かつては錺職。気が向かなければ仕事をせず、家計や子供のことは妻に任せてきた。寡黙で、物語の中では静かな存在。 📗いく おしず・おたかの母。外出をほとんどせず、家にこもりがち。長年、問題の多い息子・栄二に苦しめられてきた。 📗伊吉 おしず・おたかの長兄。縫箔職人。腕はあるが、家を出て別世帯を持ち、親への仕送りも途絶えがちになった。 📗栄二 おしず・おたかの次兄。乱暴者で、若いころ禁制の書物に関わって捕らえられ、入牢した過去を持つ。出牢後も怪しい浪人者の仲間とつながり、家に現れては金品を持ち出す。姉妹が結婚をためらう大きな理由。 📗友吉 下谷稲荷町の綿問屋・信濃屋の一人息子。おたかに強く惚れ込んでいる。本人の登場は少ないが、物語の縁談の中心人物。 📗和吉 信濃屋の主人。友吉の父。信州諏訪の生まれ。口数は少なく、朴訥な人物。 📗おてつ 信濃屋和吉の妻。友吉の母。絹女と縁続き。陽気でさっぱりした性格。おしずの誠実な告白を受け止め、おたかとの縁談を進める。 📗貞二郎 島崎来助の弟子で、腕の立つ彫金師。おしずがひそかに想っている相手。本人は直接大きく動かないが、おしずがおたかを説得するための重要な心の支えとして描かれる。 📗島崎来助 はせがわ町の彫金家。「安永宗珉」と呼ばれるほど牡丹彫りに名高い職人。貞二郎の師匠。 📗鶴村のお葉 小網町の出稽古先の主婦。おしずが貞二郎作の釵などを頼んでいる相手。おしずの秘めた恋心をからかう。 📚用語集 📙湯治 とうじ 温泉地に滞在して療養・保養すること。本作では実質的に慰労旅行。 📙結納 ゆいのう 婚約成立のしるしとして、両家が品物や金品を取り交わす儀式。 📙利休古流 りきゅうこりゅう 華道の流派名。絹女が教えている。 📙華道教授 かどうきょうじゅ 生け花を教える師匠。 📙稲荷町 いなりちょう 下谷稲荷町。信濃屋の所在地。 📙綿問屋 わたどんや 綿を扱う問屋商人。 📙浪人者 ろうにんもの 主君を持たない武士。またはそれに類する不穏な人物。 📙入牢 じゅろう 牢に入れられること。 📙江戸お構い えどおかまい 江戸への立ち入りを禁じられる処分。 📙拘泥 こうでい こだわること。 📙人別 にんべつ 江戸時代の戸籍にあたる人別帳。 📙本所相生町 ほんじょあいおいちょう 江戸本所の地名。栄二が指定した船宿の所在地。 📙柏屋 かしわや 栄二がいるとされた船宿の名。 📙船宿 ふなやど 舟遊びや渡し舟などに関わる宿・店。 📙駕籠舁き かごかき 駕籠を担ぐ人。 📙鐚銭 びたせん 粗悪な銭。転じて、ごくわずかな金。 📙肚が据る はらがすわる 覚悟が決まる。 📙町奉行 まちぶぎょう 江戸の町政・警察・裁判を担当した役職。 📙両国橋 りょうごくばし 隅田川に架かる江戸の橋。 📙中洲 なかす 川の中にできた砂州・土地。本作ではおしずが舟で渡る場所。 📙夕餉 ゆうげ 夕食。 📙立役 たてやく 中心となる役。ここでは結納の主役という意味。 📙不忍池 しのばずのいけ 上野にある池。 📙寛永寺 かんえいじ 上野の寺。 📙いろは茶屋 いろはぢゃや 池畔の茶屋。 📙町役 ちょうやく 町内の役人・町役所的な役目。旅などの届けに関わる。 📙御殿山 ごてんやま 品川付近の名所。おしずが帰る口実に使う。 📙上り框 あがりがまち 土間から座敷へ上がる段差の横木。 📙大義親を滅す たいぎしんをめっす 大義のためには親兄弟も顧みない、という過激な理屈。