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先代から付きあいのある呉服・巴屋——
平次のお使いで、暑中見舞いを届けた八五郎は、二十歳娘のお蓮の奇行にすっかり肝を潰して平次に報告にくる
笑って聞き流した平次だが、主人の八右衛門は毒殺されてしまい——
■お転婆娘は、
昭和30年に報知新聞に連載されました。シリーズとしては、347作目に当たります。
■登場人物と人間関係
1. 八右衛門(やえもん)
役割
・巴屋(呉服屋)の主人。物語の冒頭で毒殺される。
・巴屋の衰退を招いた無能な経営者として、家族や奉公人の間で不満の対象になっている。
人間関係
お粂(おくめ)(義母):八右衛門を冷たい目で見ており、家族間の確執を象徴する存在。中風で動けないが、鋭い観察眼を持つ。
お春(おはる)(妻):表面上は夫婦関係を保っているが、実際は不仲で、頻繁に喧嘩があった。
お蓮(おれん)(姪):お転婆で自由奔放な性格。八右衛門の死後、犯人探しに積極的に協力する。
清次郎(せいじろう)(甥):八右衛門の跡継ぎ候補だが、巴屋の財産を狙っている可能性がある。
勇七(ゆうしち)(従弟):清次郎を疑いながらも、自らの立場を守ろうとする。
奉公人たち:巴屋の運営を支えているが、主人の死で立場が揺らいでいる。
2. お粂(おくめ)
役割
八右衛門の義母。中風で動けないが、家中の事情に通じている。
事件に関する証言者として、平次の推理に重要な手がかりを与える。
人間関係
八右衛門:義理の息子だが、経営の失敗や無責任さを軽蔑している。
お春:嫁として冷たく接し、内心では軽蔑している。
お蓮:行動力のあるお蓮に対して期待を寄せているが、その自由さに困惑する場面も。
3. お蓮(おれん)
役割
巴屋の姪で、美しくお転婆な性格。事件の重要な証人であり、物語を動かすキーパーソン。
人間関係
八右衛門:伯父であるが、特別な感情はない。家中の争いごとに巻き込まれる。
お粂:義理の祖母的な存在。彼女の鋭い観察眼に信頼を寄せている。
お春:お蓮にとっての義理の叔母だが、微妙な関係性。
八五郎:平次の使いの八五郎と軽い言葉の応酬を交わすが、事件後に彼の信頼を得る。
平次:平次に対して協力的で、彼の推理を支える証言を提供する。
4. お春(おはる)
役割
八右衛門の妻。表面的には従順な妻を装うが、内心では夫に不満を募らせている。
人間関係
八右衛門:夫婦関係は悪化しており、夫の死で一部では解放感を感じているような描写がある。
お蓮:小姑(こじゅうとめ)のような立場で、姪の自由奔放さを快く思っていない。
奉公人たち:家事や薬湯の管理を指示する立場だが、彼女の態度に不満を抱く者もいる。
5. 清次郎(せいじろう)
役割
八右衛門の甥で、跡継ぎの最有力候補。しかし、財産目当ての行動が疑われる。
人間関係
八右衛門:叔父の死で巴屋の後継ぎになる可能性が高まるが、彼に直接の恩情はない。
勇七:従弟でありライバル関係。勇七から嫉妬と疑念を抱かれている。
お節(おせつ):若い娘で、彼女に近づくことで跡継ぎの正当性を固めようとしている。
6. 勇七(ゆうしち)
役割
八右衛門の従弟で、清次郎と同じく巴屋の財産に関心を持つ。
人間関係
清次郎:直接的なライバル関係で、清次郎の行動を鋭く監視している。
八右衛門:従兄弟として表面上は敬意を払うが、心中では疎ましく思っている。
7. 平次(へいじ)
役割
主人公であり、事件の真相を追求する名探偵。冷静な推理力で複雑な人間関係を解きほぐす。
人間関係
八五郎:信頼できる相棒であり、物語の聞き手役でもある。
お蓮:事件の重要な証人として彼女に協力を依頼し、信頼関係を築く。
お粂:彼女の証言を重視し、事件解決の糸口を掴む。
巴屋の家族・奉公人たち:それぞれの証言を冷静に分析し、犯人を絞り込む。
8. 八五郎(はちごろう)
役割
平次の使いで、事件の重要な場面に登場。平次の助手として捜査をサポートする。
人間関係
平次:絶対的な信頼を寄せており、事件解決に尽力する。
お蓮:お転婆な彼女に驚かされつつも、親しみやすい関係を築く。
■用語集
**追羽子(おいはご)**
羽子板を使って羽根を打ち合う遊び。特に正月に行われる伝統的な遊びで、無病息災を願う意味も込められている。
**川施餓鬼(かわせがき)**
川辺で行われる施餓鬼供養のこと。水中の餓鬼や霊を供養する仏教行事で、特に夏に行われることが多い。
**白桔梗(しろききょう)**
白い花を咲かせる桔梗のこと。桔梗は秋の七草の一つで、白桔梗は清楚で上品な印象を持つ。
**大黄(だいおう)**
薬草の一種で、下剤として用いられることが多い。根が薬用に使われ、漢方薬の材料として知られる。
**白鼠(しろねずみ)**
白いネズミ。稀少な存在として縁起物とされることもあり、神話や物語で神聖視される場合がある。
**斑猫(はんみょう)**
昆虫の一種。鮮やかな斑紋を持つ甲虫で、「道教え」という俗名でも知られる。歩いては止まりを繰り返す様子が特徴。
**鴆毒(ちんどく)**
鴆(ちん)という鳥の羽毛や体液から取られる毒。古代中国で毒殺に使われたとされる伝説的な猛毒。
**本屋(ほんや)**
1. 書籍を販売する店。
2. 江戸時代には出版社や印刷業者を指すこともあった。
**浸潤(しんじゅん)**
液体が物にしみ込むこと。転じて、思想や影響が徐々に広がっていく様子を指す場合もある。