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山本周五郎の短編小説「御馬印拝借」
初出「講談雑誌」昭和19年2月号
原稿は下記を使わせていただきました。
新潮文庫 山本周五郎「花杖記」平成23年3月15日35刷
主な登場人物
土田源七郎 三村勘兵衛の甥
信夫(しのぶ)三村勘兵衛の娘
三村勘兵衛 信夫の父
榊原康政 源七郎を家来とする武将
河津虎之助 榊原康政の家来
山形昌景 武田氏の武将、駿河府中城を守る
語句の解説
転瞬 まばたきするほどのごく短い時間
山狭(やまかい)山と山の間
望楼(ぼうろう)ものみのやぐら
半挿(はんぞう)柄の中の穴を湯・水が通ずるようにするもの
ひきで 引き出物の略略
卒然 にわかな様
一旬 十日間
模作(もさく)まねて作ること
徒渡(かちわたり) 徒歩で川を渡ること
先途(せんど) 進み行く先
「御馬印拝借」原稿の最後に付してあった文章です。
―付記―
この篇の74頁(第4章)に「安禅がどうとかして心頭を滅却すれば」云々ということを記したが、これは当の翰林院学士、杜筍鶴の詩の転結であって、正しくは「三伏門を閉じて一衲を被る、兼て松竹の勾廊蔭するあり、安禅何ぞ必ずしも山水を須いん、心頭滅却すれば火もまた涼し」というのである。後半二句の転結はいろいろな意味であじわいが深く、かなり広く人々に愛誦されている。甲斐の国恵林寺の快川和尚が武田勝頼の滅亡したとき、織田信長の暴手に焚かれて死んだ、そのおり炎上する山門の楼上でこの句を大喝したという話は有名である。(「講談雑誌」昭和19年二月号)