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七味春五郎の音本 〜人情朗読〜

朗読 新書太閤記【第三巻 後篇】 新装版 吉川英治著 | ナレーター七味春五郎 発行元丸竹書房

Last updated 2026-05-06 09:16:32

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針売りとして諸国を歩いていた日吉は、尾張へ戻り、ついに若き織田信長の姿をこの目で見ようと庄内川へ向かう。世間では「大うつけ」と噂される信長だったが、日吉が見たのは、水馬・渡河戦・兵の調練に励む、鋭く激しい若き将の姿だった。 命がけで信長の馬前へ飛び出した日吉は、「お召し仕えください」と直訴する。その熱意を見抜いた信長は、日吉を召し抱え、日吉は木下藤吉郎として侍奉公への第一歩を踏み出す。 一方、信長の奔放な気性と孤独を案じ続けていた老臣・平手中務政秀は、死をもって主君を諫める。信長はその忠義に涙し、政秀寺を建てて、爺と慕った老臣の魂を弔う。 大うつけと呼ばれた若き信長。 猿と呼ばれた日吉。 二人の運命が、ここに交わり始める。 人物 説明 📗日吉 / 木下藤吉郎 のちの豊臣秀吉。十八歳。針売りとして各地を歩いた後、信長に直訴して召し抱えられる。信長から名乗りを許され、木下藤吉郎となる。 📗織田信長 / 上総介信長 尾張の若き領主。世間では「大うつけ」と噂されるが、実際には軍事訓練に熱心で、鋭い観察眼と激しい気性を持つ。 📗乙若 織田家の足軽。日吉の亡父・弥右衛門の旧友。日吉を叱りながらも案じている。 📗乙若の妻 日吉を気の毒に思い、乙若の叱責をなだめる。西瓜を出して日吉をもてなす。 📗お奈加 日吉の母。藤吉郎となった息子の帰郷を涙ながらに喜ぶ。 📗おつみ 日吉の姉。刈入れの手伝いに出ている。藤吉郎が出世したら嫁入り道具を用意すると語られる。 📗筑阿弥 日吉の義父。直接登場は少ないが、日吉が実家へ帰りにくい理由として存在する。 📗木下弥右衛門 日吉の亡父。元・織田信秀の足軽。日吉は父の縁を頼りに信長へ仕官を願い出る。 📗市川大介 織田家の弓道・槍術の師範。庄内川の軍事訓練で信長と激しく渡り合う。 📗平田三位 信長の兵学の師。調練後に戦法の講評をする役割を担う。 📗平手中務政秀 信長の守役であり老臣。信長を幼少から育てた忠臣。主君を諫めるため自害する。 📗平手五郎左衛門 平手政秀の長男。名馬「野分」をめぐり信長と衝突する。 📗平手監物 平手政秀の次男。父に呼ばれて兄とともに最後の酒席に同席する。 📗平手甚左衛門 平手政秀の三男。他国の縁家にいて、この場には不在。 📗雨宮勘解由 平手政秀の用人。政秀の最期の準備をそばで支える。 📗斎藤道三秀龍 美濃の実力者で信長の舅。正徳寺で信長と会見し、その器量を見抜く。 📗春日丹後 斎藤家の老臣。正徳寺で道三の意向を受けて応対する。 📗堀田道空 斎藤家の家老。正徳寺で信長を案内し、道三との対面を取り持つ。 📗平手中務の子ら 五郎左衛門・監物・甚左衛門。父の忠義と死を通じて、信長への節義を託される。 📗柴田権六勝家 信長の家臣。平手政秀とは別系統の若い勢力として言及される。 📗林美作 信長の家臣。柴田権六とともに、政秀が危惧する新勢力として語られる。 📗松下嘉兵衛 以前、日吉に金を与えた人物として触れられる。 📙足軽組 あしがるぐみ 下級歩兵の組織。戦国期の軍事編成の一部。 📙組長屋 くみながや 同じ組に属する足軽などが住む長屋。 📙閾 しきい 家の出入口の下の横木。ここでは「家の中へ入る」ことの象徴。 📙身装 みなり 服装、身なり。 📙困憊 こんぱい 疲れ切ること。 📙針売り はりうり 針を売り歩く行商。日吉の漂泊時代の仕事。 📙非番 ひばん 勤務のない日。 📙水馬 すいば 馬を水に入れて泳がせる訓練。戦国期には軍事訓練の一環。 📙川狩 かわがり 川辺での狩猟・軍事訓練。ここでは遊興ではなく実戦訓練に近い。 📙庄内川 しょうないがわ 尾張を流れる川。信長の水馬・渡河訓練の舞台。 📙鬨の声 ときのこえ 戦いの際に上げる掛け声。 📙渡河戦 とかせん 川を渡りながら戦う訓練・戦闘。 📙陣幕 じんまく 陣地に張る幕。軍勢の本陣や区画を示す。 📙竹槍 たけやり 竹で作った槍。訓練用として使われる。 📙帷子 かたびら 夏用の薄い衣。 📙具足 ぐそく 甲冑。武具一式。 📙朱太刀 しゅだち 赤く装飾された太刀。ここでは信長の華やかさを示す。 📙生擒る いけどる 生け捕りにすること。 📙小屋 / 仮屋 こや / かりや 野外での一時的な控え所。 📙狂児像 きょうじぞう 常軌を逸した若者としての信長像。ここでは世評と実像の二面性を示す。 📙吉法師 きっぽうし 信長の幼名。 📙上総介 かずさのすけ 信長の官途名。 📙守役 もりやく 幼少の主君を養育・補佐する役目。 📙傅役 もりやく / ふやく 守役と同じく、若君を教育・補佐する役。 📙織田備後守信秀 おだびんごのかみのぶひで 信長の父。 📙内裏 だいり 天皇の御所。 📙築土 ついじ 土を突き固めて作った塀。 📙伊勢外宮 いせげくう 伊勢神宮の外宮。 📙大うつけ おおうつけ 大馬鹿者、大変な愚か者という意味。信長への悪評。 📙正徳寺 しょうとくじ 美濃・尾張国境の富田ノ庄にあった寺。信長と道三の会見場所。 📙富田ノ庄 とみだのしょう 美濃・尾張国境の地。 📙斎藤道三秀龍 さいとうどうさんひでたつ 美濃の大名。信長の舅。 📙聟 むこ 娘の夫。信長は道三の聟にあたる。 📙舅 しゅうと 妻の父。道三は信長の舅。 📙茶筅むすび ちゃせんむすび 髪型の一種。髪を茶筅のように結う。 📙打紐 うちひも 衣服や髪などを結ぶ紐。 📙帷子 かたびら 薄い単衣の衣。 📙熨斗つき刀脇差 のしつきかたなわきざし 熨斗のような飾りをつけた刀と脇差。奇抜な装いの描写。 📙七五三縄 しめなわ 神事などで使う縄。信長が刀に巻く奇抜な装いとして登場。 📙火打袋 ひうちぶくろ 火打石などを入れる袋。 📙印籠 いんろう 小物や薬を入れる携帯容器。 📙根〆 ねじめ 装飾用の留め具・飾り。 📙折目袴 おりめばかま きちんと折り目をつけた正式な袴。 📙裃 かみしも 武士の正式な礼装。 📙色代 しきたい 挨拶、応対の礼。 📙膳部 ぜんぶ 食事、料理の膳。 📙湯漬 ゆづけ 飯に湯をかけた食事。 📙卯月 うづき 信長の愛馬の名。 📙黒鹿毛 くろかげ 黒みを帯びた鹿毛の馬。 📙名馬・野分 のわき 平手五郎左衛門の愛馬。家宝の茶碗を売って手に入れた。 📙鎧 / 鞍 あぶみ / くら 馬具。本文の「鎧」は文脈上、鐙や馬具まわりの描写として注意。 📙草履取 ぞうりとり 主君の草履を扱う小者。藤吉郎が昇格する役目。 📙御小人組 おこびとぐみ 城内の雑役・小者の組織。藤吉郎の初期の勤め先。 📙出仕 しゅっし 主君のもとへ勤めに出ること。 📙孤君 こくん 孤立した君主。作中では信長の孤独な立場を指す。 📙苦諫 くかん 相手のために厳しく諫めること。 📙自刃 / 自害 じじん / じがい 自ら命を絶つこと。平手政秀が信長を諫めるために行う。 📙政秀寺 せいしゅうじ 平手政秀を弔うため、信長が建てた寺。 📙回向 えこう 死者の成仏を願って供養すること。 📙菩提 ぼだい 死者の冥福、または成仏。 ✿作者と作品について ◆作者:吉川 英治(よしかわ えいじ)  1892年(明治25年)- 1962年(昭和37年)。日本の大衆文学を代表する小説家。神奈川県出身。本名は英次(ひでつぐ)。『宮本武蔵』『三国志』『私本太平記』など、歴史を題材にした数多くの国民的ベストセラーを執筆し、「国民文学作家」と称された。その作品は、平易でありながら格調高い文章で、幅広い読者層から支持を得ている。1960年、文化勲章受章。 ◆作品:『新書太閤記』(しんしょたいこうき)  吉川英治が1938年(昭和13年)から新聞連載を開始した歴史小説。豊臣秀吉の生涯を、織田信長に仕える以前の若き日から天下統一を成し遂げるまで、生き生きと描いている。本作は、従来の講談や立身出世物語としての秀吉像に、人間的な深みと魅力を与え、新たな「太閤記」として絶大な人気を博した。戦国時代の動乱を背景に、秀吉をはじめとする武将たちの葛藤や野望、人間模様が巧みに描出されている。 ■青空文庫、山本周五郎作品他、著作権きれた文芸多数 https://www.aozora.gr.jp/