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■黒い巾着は、
七三作目、昭和十三年にオール読物三月号に掲載されました。
平次の相棒 八五郎が、金貸し業を営む山崎屋の隠居勘兵衛の死を伝えてくる。
悪名高い金貸しで、多くの人々に怨まれていた。
事件性のない自然死のはずだったが、寺社から葬儀を拒否される始末。
八五郎は平次をひっぱりだしますが……
■主な登場人物
主要人物
・銭形平次
主人公:江戸の岡っ引き。十手持ちで、人情に厚く、抜群の洞察力と推理力を持つ。投げ銭を得意とし、多くの事件を解決してきた。
・ガラッ八(八五郎)
平次の子分:気さくで親しみやすい性格の持ち主。時に軽口を叩くが、平次の補佐役として活躍。
山崎屋の関係者
山崎屋勘兵衛
隠居の金貸し業者。強欲で冷酷な性格が評判で、数々の人に恨まれていた。何者かに絞殺される。
お常
勘兵衛の娘で、勘五郎の妻。父親に従順な性格で、事件の中で息子を失う悲劇に見舞われる。
勘五郎
勘兵衛の婿でお常の夫。平凡で優しい性格だが、勘兵衛に従わざるを得ない立場にある。
勘太郎
勘五郎とお常の息子で、10歳の少年。隠居の勘兵衛に可愛がられていたが、巾着を狙った犯人に殺害される。
勘兵衛の親類
久蔵
勘兵衛の義弟で、お染と久三郎の父。元は男芸者で道楽者だったが、山崎屋に転がり込む。狡猾な性格。
久三郎
久蔵の息子で、お染の兄。30歳の頑固な男で、妹のお染に対して過保護な態度を取る。
お染
久蔵の娘で、19歳の美しい女性。勘兵衛に可愛がられていたが、万吉との縁談には兄や父が反対している。
奉公人たち
万吉
山崎屋の奉公人で、番頭万助の息子。勤勉で真面目だが、勘兵衛に搾取されて不満を抱いていた。お染に思いを寄せていたが、事件の犯人となる。
和助
山崎屋の番頭で、物静かな40歳の男。影のような存在だが、勘兵衛には信頼されていた。
お光
山崎屋の下女。事件に関わる重要な証言をする。
下男・小僧たち
山崎屋で働くその他の奉公人たち。
その他の人物
粂吉
浜町に住む久蔵の昔の知り合いで、久蔵が借金返済の相談に行く。
井田平十郎
明神下の浪人者で剣術の師範。久三郎が葬式のために協力を依頼する。
卜者(ぼくしゃ)
明神前にいる占い師で、万吉が御神籤の解釈を求めて訪れる。
■用語集
・水府(すいふ)
水戸藩を指す別称。
・留湯(とめゆ)
温泉や風呂の湯をそのままにして残しておくことを指す。
・法楽(ほうらく)
神仏に対する感謝や楽しみを込めた祈りや祭り。
・むくつけき
(むくつけき)恐ろしく、気味が悪い様子。何かしら不気味さや恐怖を感じさせるものを表す古語。
・業腹(ごうばら)
強い怒りや恨みを抱いている心の状態。心の中で煮えたぎるような感情を指す。
・薫蒸(くんじょう)
煙や蒸気で物をいぶして消毒したり、香りを付けたりすること。特に、防虫や防腐のために行われる。
・素読(そどく)
意味を深く考えずに、文章をそのまま音読すること。古典や漢文の学習法として使われる。
・種々相(しゅじゅそう)
さまざまな姿や形。また、現れるさまざまな様相や状態を指す言葉。